new

茨木のり子 (著)
ISBN 978-4-00-602369-0
文庫判 178ページ
発行 岩波書店 2025年5月
最愛の夫が他界したあと書き継いだ、亡夫に贈る愛の詩篇。夫婦という極めて私性の強い密室を描き、女性としての息づかいが濃厚にただよう、死後にもつづく永遠の愛。戦後の女性の生き方を読者の知性に訴え続けてきた詩人が、没後にはじめて詳らかにした、純愛に生きるみずからの生(なま)の姿。口絵二丁。(解説=小池昌代)
目次
Ⅰ
五月
その時
夢
四面楚歌
最後の晩餐
お経
道づれ
月の光
栃餅
部分
夢で遊ぶ病
占領
泉
駅
Ⅱ
蟬しぐれ
夜の庭
モーツアルト
殺し文句
恋唄
獣めく
一人のひと
二人のコック
町角
誤算
ひとり暮し
手
急がなくては
レンコート
梅酒
橇
Ⅲ
なれる
電報
(存在)
(パンツ一枚で)
試すなかれ
椅子
古歌
湯檜曾
歳月
「Y」の箱(宮崎 治)
『歳月』の秘密(小池昌代
茨木のり子著作目録
著者プロフィール
茨木 のり子 (イバラギ ノリコ) (著)
1926–2006年。〈現代詩の長女〉とも称される、戦後の日本を代表する現代詩人。1953年,川崎洋と二人で同人詩誌「櫂」を創刊。「わたしが一番きれいだったとき」をはじめとする作品群で戦時下の女性の青春を描く。敗戦を契機にひらかれた幅広い社会意識と健康な批評精神が特徴で、スパッと歯切れのいい言葉が断言的に出てくる、主張のある詩、論理の詩、倫理の詩、あるいは読者を励ます、人を奮い立たせてくれる詩が多い。他の詩集に、『対話』『見えない配達夫』『自分の感受性くらい』『倚りかからず』など、また訳詩集に『韓国現代詩選』(読売文学賞)がある。