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「ビックリハウス」と政治関心の戦後史 サブカルチャー雑誌がつくった若者共同体

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富永京子(著/文) ISBN 978-4-7949-7436-5 四六判ハードカバー 320ページ 発行 晶文社 2024年7月 「政治に関心がない」とされがちな若者の第一世代。本当に彼らは政治や社会運動に関心がなかったのか? そして、なぜ現在に至るまで非政治的だとみなされてしまったのか?  糸井重里、橋本治、YMOなどが登場した伝説的サブカルチャー雑誌、『ビックリハウス』(1975―1985)から実証的に「若者」たちの心の内を明らかにする。 各メディアで活躍する社会学の新鋭が「若者の政治離れ」の源流に迫る渾身の一冊。 目次 まえがき 第1部 問題意識・先行研究・方法と事例 1 はじめに――1970年代以降、日本人は本当に政治と社会運動に背を向けたのか? 1-1 消費社会と私生活主義、公的なものへの無関心 1-2 1960年代以降における社会意識と政治参加の動態 1-3私生活主義と政治への忌避を代表する存在としての「若者」 1-4.本書の構成 2 先行研究と分析視角――政治史・経済史・社会史的観点から 2-1 なぜ「雑誌」なのか――1970-80年代の「共同性」と「政治性」を考える 2-2 同時代における若者雑誌の政治性と共同性 2-3 戦後における読者共同体の「政治性」と「共同性」の変容 2-4 事例としてのビックリハウス――共同性と政治性の「挫折」? 3 事例、方法、分析視角 3-1 事例――雑誌『ビックリハウス』 3-2 方法――雑誌の計量テキスト分析と内容分析 3-3 分析視角――戦争、女性、ロック 第2部 戦後社会の価値変容――戦争経験、ジェンダー、ロックの視点から 4 語りの解放と継承のずれ――「戦後」と「安保」から遠く離れて 4-1 1970年代以降の反戦・平和運動と方法を巡る是非 4-2 雑誌『ビックリハウス』における戦争の語り 4-3 「戦後」と「安保」から遠く離れて    5 女性解放――運動が成す個人の解放、解放された個人への抑圧としての運動 5-1 同時期の雑誌上における女性運動表象の両義性 5-2 「個の解放」への真摯さと「性の解放」の挫折 5-3 運動がなしえた個人の解放、解放された個人への規制としての運動 6 「論争」から「私的」へ、「頭」から「心」へ――みんなで語るそれぞれのロック 6-1 『宝島』とロック、政治、カウンターカルチャー 6-2 『ビックリハウス』はロックをどう「論争」したか 6-3 「人それぞれ」の読者・編集者共同体 第3部 みんなの正しさという古い建前、個人の本音という新しい正義 7 社会運動・政治参加――規範性・教条主義に対する忌避・回避の「主体的な」顕在化 7-1 政治への関与を辞さないサブカル雑誌 7-2 『ビックリハウス』の分析 7-3 「べき」への忌避、「主体性」の尊重、「共同体」の隘路 8 差別が「率直さの表明」から「不謹慎さを競うゲーム」になるまで 8-1 マイノリティへの「あけすけさ」は運動か遊戯か 8-2 『ビックリハウス』はマイノリティと差別をどう捉えたか 8-3 差別が「あえて」の率直さから、不謹慎さを競うゲームになるまで 9 自主的で主体的な参加の結果「政治に背を向けた」共同体 9-1 「言葉遊び」のパロディ誌としてのビックリハウス 9-2 民主的な「参加」に基づく読者共同体としてのビックリハウス 9-3 自発的に参加した結果、社会・政治に背を向けた「大衆」 10 考察と結論 10-1 本書の知見がもつ普遍性 10-2 社会学・社会批評的な「世代論」「時代論」への反論 10-3 消費社会において、私生活を通じた公的関心の形成は可能か おわりに 参考文献 著者プロフィール 富永 京子 (トミナガ・キョウコ) (著/文) 1986年生まれ。立命館大学産業社会学部准教授。シノドス国際社会動向研究所理事。専攻は社会運動論・国際社会学。東京大学大学院人文社会系研究科修士課程・博士課程修了後、日本学術振興会特別研究員(PD)を経て、2015年より現職。著書に『社会運動と若者──日常と出来事を往還する政治』(ナカニシヤ出版)、『社会運動のサブカルチャー化――G8 サミット抗議行動の経験分析』(せりか書房)、『みんなの「わがまま」入門』(左右社)。

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