new
吉田太郎(著/文)
ISBN 978-4-540-23167-4
四六判 368ページ
発行 農山漁村文化協会 2024年7月
世界の食料需給の逼迫が懸念される一方で、カーボンゼロや生物多様性の保全を達成しなければならない。地球沸騰を回避し、世界飢餓も防ぐ。この二つの難題を同時に解決しなくてはならない――これが食と農をめぐる現代的な状況だ。
こうした前提には世界的にコンセンサスが得られている。しかしそれを実現する手法となるとまさに百花繚乱だ。AIやドローンや人工肉、細胞培養等の先端技術を用いたフードテックがあると同時に、有機農業や自然農法、リジェネラティブ農業などがある。
なぜ化学肥料や農薬を使わなくとも作物は育つのか? なぜ耕さなくてもよいのか? なぜ多様な植物が必要なのか?――有機農業や自然農法にかかわる“そもそも”の問いに、最先端の科学的知見と篤農家の叡智から縦横に語る。
目次
はじめに なぜ、いま、自然への畏敬なのか――断ち切られた関係性のつむぎなおし
序章 自然生態系の創発から見えてきた有機農業のメカニズム
第Ⅰ部 地球史からみた植物と土とのつながり
第1章 生命誕生とカーボンと窒素の深いつながり
コラム①植物と動物の違い
第2章 植物上陸と土ができるまで
コラム②動植物の進化と利用元素の変化
第Ⅱ部 土からみた動植物の健康
第3章 健康であれば作物も家畜も病気にならない
コラム③ウイルスの謎
第4章 無化学肥料でも農業はできる?
コラム④二酸化炭素と窒素
第5章 リンは微生物のつながりと資源循環で
コラム⑤リンを液肥循環させる
第6章 健康な土は水を浄化し動物も健康にする
コラム⑥自然の摂理を生かしたBMW技術
コラム⑦土づくりで働くミミズとゴキブリ
第Ⅲ部 進化からみた微生物とタネとのつながり
第7章 共生の進化と森林の誕生
コラム⑧四季が織りなす落ち葉分解の役者たち
コラム⑨炭はなぜ効果があるのか
第8章 大地再生農業とタネのつながり
コラム⑩雑草論
終章 過去の篤農家の叡智をいまの目で見なおす
おわりに――真のレジリアンスを求めて
あとがき
索引
著者プロフィール
吉田 太郎(よしだ・たろう)(著/文)
1961年、東京都生まれ。筑波大学自然学類卒。同大大学院地球科学研究科中退。専攻は地質学。埼玉県、東京都および長野県の農業関係行政職員として勤務。長野県では農業大学校教授(生物学、土壌肥料学演習)のほか、有機農業推進担当職員として有機農業の啓発普及に従事した。定年退職後は晴耕雨読の生活をしつつ、フリージャーナリストとして活動。NPO法人日本有機農業研究会理事。主な著作は『タネと内臓』『コロナ後の食と農』『土が変わるとお腹も変わる』(いずれも築地書館)、『有機給食スタートブック』(共著、農文協)など。