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福井 安紀(著/文)
ISBN 978-4-416-72306-7
四六判 224ページ
発行 誠文堂新光社 2024年5月
完全無所属の専業画家の、売れるカギは、「共感される」ことだった。百貨店での個展経験もなく、マーケティングもせず、売込み営業活動もしない著者が、なぜ、悠々と活動継続できるのか。なぜ、受注できるのか。
個展150回、8万人の鑑賞者に出会い、画家ならではの人間観察と豊富な対人経験をもとに、アーティスト、クリエーター、フリーランスがぶつかる諸問題(お金、メンタル、お客さんづくり)について、「共感される」をキーワードに、独自の活動方法や思考方法を公開します。
また、ギャラリーストーカーなど「迷惑な来場者」への対策や考え方も、著者の経験を踏まえ、迷惑行為のタイプ別に24ページにわたり具体的に、率直に記しています。
主な内容として、
・ほんとうに「自分のしたいこと」をするときに起こる「逆風」について
・自分を支え、リピーターになってくれる「自分のお客さん」を得るには
・さまざまなお客さんとの出会いかた
・お客さんは何に対して共感し、応援するのか
・長く創作を続けていくためのお金の問題
・値付け、個展などについての考え方と提案
・お客さんからの注文を得るために
・創作者の性格(陽キャと陰キャ)と接客
・不安定になりがちな心への対策
・ギャラリーストーカーを含む「イヤなお客」のタイプと対策
などのほか、X(旧ツイッター)のフォロワー数2万6千人(刊行時)である経験から、SNSの活用方法と効果について、や「受注を増やす方法を」を、安価な金額設定でふすま絵を出張して描く『ふすま絵プロジェクト』立ち上げの経験から提案し、提言します。
いったい著者は、どうしてこんなに惜しみなく手のうちをさらすのでしょうか? 終章「美について」と「200年後の未来の人たちへの手紙」で、著者が一生をかける「美」への想いと、今の美を未来の人に伝えたいという願いを語り、一見、美とは相反すると思われがちな「共感される」ことや「お金」の問題が、実は美の真髄に迫るものであることを語ります。
無名の画家が自分をさらけ出して書いた『職業は専業画家』(誠文堂新光社、2021年)がじんわり好評であることを受けて、第2作目『美の共感思考』の刊行が決まりました。画家をはじめアーティストやクリエーターが直面する多岐な問題をより深掘りする本作は、『職業は専業画家』同様、自営する人、起業を目指す人にも必携です。
目次
第1章 共感の種―「自分のしたいこと」
1 「共感」の大切さに気づくまで
2 「共感される」とは
3 「自分のしたいこと」をするから共感される
4 自分の活動への「逆風」を乗り越えるコツ―地道に進む
5 「自分のしたいこと」の「主導権」を獲得することで、活動は加速する
6 「自分のしたいこと」をするのに社交性は関係ない
第2章 「共感」でお客さんをつくる
1 「共感される」ことで「自分のお客さん」を自分でつくる
2 お客さんは何に共感するのか
3 さらけ出す―共感を得るための重要アイテム
4 「共感した人」がリピーターになる―リピーターの重要性
5 たくさんの人に「出会い続ける」
6 出会いの場としてのSNSの工夫
7 料理店でのお客さんとの「出会い」もある
8 「企画性のある活動」でお客さんをまき込み、共感を得る
第3章 お金を得る・お金の考え方
1 「自分のしたいこと」と「お金」の関係
2 作品の価格の決め方
3 経費や出費を考える
4 個人から注文を受け、活動を広げる
5 注文を成功させるために
6 自分にとっての価格の考え方―作品量MAXのシミュレーション
7 ギャラリーマージン(販売手数料)について
第4章 心のこと
1 創作者の心のこと
2 心の安定―心をコントロールする
3 「心の問題」の根本的なこと(唯識)
4 お客さんと「心」―接客で心を痛めない
5 接客は「話すこと」ではない ―心を疲れさせない「接客」の提案
「イヤなお客」への対策―ギャラリーストーカーも含む
地道に活動し、「共感される」
対談1 ロイドワークスギャラリー 井浦歳和さん
対談2 山本雄教さん
土と石の作品
「ふすま絵プロジェクト」の事例
第5章 美について
1 「美」に「自分」を込める―私の「自分の美」への変遷
2 自分の創作での「美」のありか
3 「花」について
200年後の未来の人たちへ
著者プロフィール
福井 安紀 (フクイ サダノリ) (著/文)
画家・絵師。1970年京都府生まれ。サラリーマンを経たのち、30歳から絵だけで生活する道へ進む。土と石の自家製絵具で制作を続け、2013年、42歳で髙砂神社能舞台の鏡板の松を制作する機会をいただく。45歳のときに、江戸時代の絵師にあこがれ、安価に、すばやくふすま絵を描く「ふすま絵プロジェクト」を立ち上げる。各地の住宅、店舗、ホテル、寺院などでふすま絵、壁画、天井画などさまざまな種類の絵を描き続けている。2023年までに個展150回以上、多数のふすま絵制作など画家活動の限界に挑んでいる。
著書:『職業は専業画家』(誠文堂新光社、2021年)