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長田弘(著/文)
ISBN 978-4-267-02340-8
文庫判 288頁
発行 潮出版社 2022年4月
詩人であり、絵本や随筆の傑作も多い著者。1999年6月に刊行され、2013年5月に新装版が刊行されたエッセー集『私の好きな孤独』、待望の文庫化。
「孤独」はいまは、むしろのぞましくないもののようにとらえられやすい。けれども、本来はもっとずっと生き生きと積極的な意味だった。
「たった一軒のカフェに親しむだけで、知らなかった街が、ふいにどれほど、じぶんに親しい街に変わってゆくことか。朝の清潔な孤独を味わえる街の店に座っていると、そのことが浸みるようにわかってくる」
( 本書収録「朝のカフェ」より)
音楽、珈琲、旅、酒、読書──。孤独を慈しみ味わうために必要な「小道具」たちをモチーフに、いまなお多くの人に愛されつづける「言葉の魔術師」が詩的魅惑を豊かにたたえながら紡ぎ出し指南する、「孤独」との明るく前向きな付き合い方。
目次
言葉の樹
Ⅰ
⦿ノンセンスの贈りもの ⦿猫の名前 ⦿ランドフスカ夫人 ⦿モーツァルトのように ⦿手 ⦿夏の夜の眠り ⦿ヘルジーリエの鍵 ⦿交響曲第一番 ⦿「?」を売る男 ⦿ほんのちょっとした隠れ家 ⦿おいしい水 ⦿やあ、メニューインさん ⦿バラ色の下着 ⦿三色の長くつ下 ⦿銀色のロバ ⦿バスクのピアノ ⦿絶望のなかにも ⦿ネス湖のネッシー ⦿アイリッシュ・コーヒー ⦿人生はおもしろいか ⦿ある朝、突然 ⦿マーロウと猫 ⦿バーボンの飲み方 ⦿真実など無用 ⦿親しく思いだす人
Ⅱ
⦿窓 ⦿街の噂 ⦿街の秘密 ⦿曲がり角 ⦿看板のむこうに ⦿薬と自由 ⦿静かに狂う ⦿鍵束 ⦿バスに乗って ⦿オーイ ⦿ある少女の話 ⦿何もない場所 ⦿駅で ⦿地下道で ⦿公園のブランコ ⦿街と人力車 ⦿ラヴレター ⦿愛 ⦿本屋さん ⦿印度の虎狩 ⦿ジグソー・パズル ⦿レゴ ⦿オセロ ⦿時計と時間 ⦿古くて新しい ⦿伯父さん ⦿空飛ぶ猫の店 ⦿鉄道草
Ⅲ
⦿朝のカフェ ⦿ココアの香り ⦿失くした帽子 ⦿アイスクリームの風景 ⦿鉢植えのパンのつくり方 ⦿ジェノヴァの布地 ⦿四角いドーナツ ⦿ママとモリタート ⦿何かが変わった ⦿ベッシー・スミスを讃える ⦿ビリー・ホリディという生き方 ⦿ラウンド・アバウト・ミッドナイト ⦿スラバヤ・ジョニー ⦿ジャニスへのさよなら ⦿生きるための必要 ⦿ライク・ア・ローリング・ディラン ⦿スカーレットのヴァイオリン ⦿向こう側へのドア ⦿サニーサイド・アップ ⦿若葉の萌える色 ⦿アライグマとブルーベリー ⦿日々を輝かすもの ⦿黄色い薔薇 ⦿孤独の贈りもの ⦿われらをめぐる青
おぼえがき
解説 大井浩一(評論家、ジャーナリスト)
著者プロフィール
長田 弘 (オサダ・ヒロシ) (著/文)
詩人。1939 年福島生まれ。「われら新鮮な旅人」でデビュー。講談社出版文化賞、毎日芸術賞など数々の賞を受賞。絵本、翻訳なども。著書多数。2015 年5 月永眠。